当コラムライターによる比較的どうでもいい前置きから始める。不要な方は見出しを活用していただきたい。
目次
前置き・掲載基準など
イースター(復活祭/復活節)とは
キリスト教徒にとってメシアであるイエスという男が、十字架にて磔刑に処され、死んで墓に葬られて、そして3日後に復活したことを覚えて祝う祭りである。「アレキサンドリアの移動的復活日制定法」が定められて以来、毎年変わる。春分(3月21日)後の最初の満月の後に来る第一日曜日。
イースターはイエス・キリストの復活を祝うお祭りなので、アブラハム宗教のくくりでもユダヤ教・イスラム教にはない。
「キリスト教辞典」の『復活節』項目より引用()
イースター(復活祭)とも言い、主イエス・キリストの復活を記念するために設けられた.マルコ14:1,使徒12:4に見られる過ぎ越しの祭り(ギリシャ語:pascha)に由来している(フランス語では復活祭をPâques と呼ぶ )
英語の Easterはチュートン族の春の女神 Eostre に由来しているとされるが確実な証拠はない.彼等は毎年4月に女神 Eostre にいけにえをささげていたが,主イエス・キリストの復活を祝うのにこの異教の習慣が取り入れられたとも推測できる.
しかしながら、主イエス・キリストの復活を年ごとに祝う習慣は使徒時代の初期から行われていた.Ⅰコリント5:7,8はイースターの模倣であるという説があるがこれは極めて蓋然性に乏しい(The Zonderva Pictorial Encylopedia of the Bible, Vol.2,p.18)
復活日の決定については「⁺復活日論争」として歴史的に論争されてきた.初代教会ではユダヤ教の過越に倣ってニサンの月の14日に復活を祝う教会と、その次の日曜日を復活日と定める教会との相違が生じてきた.すなわち,小アジヤの教会では,ユダヤの太陽暦のニサン(太陽暦の3-4月)の14日を曜日にかかわりなく固定して復活日として守った(14日遵守派).それに対して,アレキサンドリアの太陽暦の影響を受けたローマではニサンの月の14日に続く日曜日を復活日と決めた.従って,年ごとに復活日が変わったのである(移動的復活日制定派).
復活日論争についてのもっとも初期の記録は,150年ごろのスミルナの監督ポリュカルポスとローマ監督アニケトゥスとの会談である.ところが,この会談において解決をみることなく,その後170年にラオデキヤで論争が生じ,さらに190年にエペソの主教ポリュクラテースとローマの教皇ヴィクトル1世との間に大論争が起こった.その結果………(ここまで引用。力尽きたようだ)
このコラムでのピックアップ基準
イースター(復活祭)の定番菓子というのは、キリスト教徒の数だけあるのではないかと思うようになった。しかし、そのなかでも、一応「国」や「地域」あるいは「家庭・家系」における伝統というものは存在すると思われる。
キリスト教のくくりでも、東方教会と西方教会ではイースターの時期は若干違うけれど、日本人からしてみたら誤差の範疇である(←こう言うと怒る人もいるだろうが)。ここではその区分は取り払って「イースター/復活祭」のお菓子として、日本語で探せるくらいに知名度があるものをピックアップしてみたい。
【このページの掲載基準】
・外務省ウェブサイトで「欧州」と定義されていた範囲の国のから選ぶ(2024年令和6年2月15日付情報)。
・「国名 イースター お菓子」「国名 復活祭 お菓子」などで検索し、どうも広く伝統的に食べられているという雰囲気がありそうなものを1種類ピックアップする(つまり当コラムライターのさじ加減による取捨選択が行われる)。
・参考書籍やウェブサイトは出典を記載する。
・画像はInstagramの規約に則って埋め込みを行う。
・国名を50音順にする。複数羅列する場合は、その中で50音順に整列する。
取り急ぎ、外務省ウェブサイトで「欧州」に定義された国をピン止めした国の地図(Googleマイマップ)を掲載しておく。ざっくり参考にしていただければと思う。
【あ行の国】イースター伝統菓子6選
アイルランド・イギリスなど|シムネル・ケーキ
シムネルケーキ(Simnel cake)は、イギリスではお馴染のフルーツケーキで、レント(四旬節やイースターの季節によく提供されるもの。もともとは母の日に食べていましたが、現在ではイースターの日曜日に食べるのが一般的です。
また特徴的なのは、ケーキのマジパン層と、同じ生地で作られた11個のボール。このボールは、イエスの12人の弟子のうちのユダを除いた11人を象徴すると言われています。(https://www.swanandlion.com/simnel-cake-easter-2/ )
アルバニア・ポーランド・ブルガリアなど|バブカ
バブカは、ユダヤ教徒のコミュニティを起源とし、19世紀初頭に東欧地域で生まれた伝統的な菓子です。この菓子は、イースターのお祝いとしてポーランド、アルバニア、ブルガリアなどで親しまれてきました。初期のバブカはパネトーネのようなドーム型で、フルーツジャムやはちみつが練り込まれた生地が特徴的でした。
バブカは遠い東欧から生まれ、ユダヤ共同体が起源とされます。さかのぼること19世紀初頭、バブカはポーランドやアルバニア、ブルガリア等の東欧国で、イースターの祝福の一部として台所から登場しました。(https://shop.sweetsvillage.com/blogs/knowledge/babka)
イタリア|コロンバ
毎年、私たちはラ・コロンバ・ディ・パスクア (「復活祭の鳩」) の到着を心待ちにしています。イタリアでは、この職人技のケーキは甘い春の兆しです。
クリスマスのパネトーネやパンドーロに匹敵するイースターの濃厚でふわふわのコロンバは、伝統的に高品質の小麦粉、新鮮な卵、砂糖、バター、天然酵母を使って作られています。少なくとも30時間発酵させた後、生地を象徴的な鳩の形に焼き上げ、最後にパールシュガーとアーモンドをトッピングします。
(https://eataly.co.jp/blogs/magazine/2024032501)
ウクライナ・ジョージア・ルーマニア|パスカ
国によって、呼称(響きや見た目)が似てても、レシピが若干違うようです。ルーマニアのものはチーズを用いて作るようです。
パスカは牛乳とサワークリームを使った甘いパンで、上にアイシングで飾りつけをします。
ウクライナではイースターが近づくと街のスーパー、パン屋さん、ケーキ屋さんに所狭しとパスカやパスカの材料が並び、見た目の華やかさや甘い匂いがイースターを盛り上げます。(https://note.com/dogirls_ua/n/nb096e639c9cd)
パスカの写真これは、ルーマニア発祥の伝統的なイースターブレッドで、甘いチーズケーキのようなものだそうです。主にリコッタチーズや牛のチーズ、レーズンを用いて作られるものが一般的です。このパスカは喜びを表すものとして、イースター以外にクリスマスや結婚式の際にも食べられるものだそうです。 ( https://www.romaniatabi.jp/articles/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC )
エストニア|ヴァストラクッケル
エストニアではヴァストラクッケル、スウェーデンではセムラ、フィンランドではラスキアイスプッラと呼ばれるバンズの中にアーモンドペーストやジャムを詰めそしてクリームなどを乗せたお菓子をいただきます。
当日はエストニアスタイルのヴァストラクッケルを作ります。フィンランドの西側も同じようなスタイルです。したがってスウェーデンのアーモンドペーストを入れるスタイルではなく、ジャムを入れるタイプを作ります。
もともとは4月中旬のイースター(復活祭)の45日前にいただく、絶食期間開始の最後のエネルギー補給の食べ物と言われています。スウェーデンからその文化は発生し、北欧諸国へ伝播し、フィンランドからエストニアに辿り着いたのではないかと思われます。( https://estonianavi.com/product/vastlakukkel220409/ )
オーストリア|オスターピンツェ
まず、イースターのパンの代表と言えばオスターピンツェ(Osterpinze)と呼ばれるこの丸いパン。この季節、どのパン屋さんにも並びます。丸く、中央から放射線状に三本の線が伸び、真ん中が少しくぼんでいるのが特徴です。
まず、イースターのパンの代表と言えばオスターピンツェ(Osterpinze)と呼ばれるこの丸いパン。この季節、どのパン屋さんにも並びます。丸く、中央から放射線状に三本の線が伸び、真ん中が少しくぼんでいるのが特徴です。
(https://note.com/hyorowien/n/n000d5b6fbb60)
【か行の国】イースター伝統菓子4選
キプロス|フラウナ
ギリシャの隣、キプロスCyprusのイースターのパンを、近所のパン屋さんで買ってきました。
昨日乗ったミニ・キャブの運転手さんがおしえてくれたのでした。フラウナFlaunaというらしいです。(発音が・・・)ギリシャ正教では夜、イェス像を乗せたお神輿みたいなのを担ぐらしいです。
それで、皆でその下をくぐるらしい。それが、私たちの罪を十字架で贖われたということの象徴だそうです。
間違っていたら、運転手のオジサンと私・両方の英語力のせいですので、あしからずぅ。(https://pitakoaiko.exblog.jp/11359722/)
ギリシャ|チュレキ
お菓子などは聖木曜日に作るのが伝統で、この日は茹で卵を染めてイースターエッグを作り、クルラキァ(ビスケット)やチュレキ(菓子パン)を大量に焼きます。(https://note.com/girisyagohan/n/n893979498811)
キルギス・ベラルーシ・ロシア・|クリーチ
濃厚な発酵生地を使ったふわふわのスラヴのクリーチは、もっとも重要な(そして正直言ってもっとも美味な)正教会の祝祭の象徴である。多くの人に好まれるお菓子はどれもそうだが、イースターのクリーチのレシピは種々あり、材料、生地の発酵のさせ方などに違いがある。(https://jp.rbth.com/cuisine/85118-cruffin-kulich-fukkatsu-taisai-taberu-roshia-daihyoteki-okashi-gendaipan)
クロアチア|ピンツァ(ピンカ?)
イースターの時に食べるという甘いパン。確か名前はPincaだったと思う。
イースターの時には、このパンを買いに外に地元の人が大行列を作るそう。(https://marichan.hatenablog.com/entry/2023/05/06/004446)
【さ行の国】イースター伝統菓子3選
スイス|オースターフラーデン
オースターフラーデンは、直訳すると「復活祭(オースター)の平焼きケーキ(フラーデン)」となる。実はドイツにも同名の焼き菓子が存在するが、ドイツのオースターフラーデンはパン。スイスのオースターフラーデンは、ミュルベタイグMürbeteig(いわゆるタルト生地)の上にミルクライスと挽いたアーモンドのフィリングが乗った甘いお菓子だ。「スイス・食の遺産Kulinarisches Erbe der Schweiz」ウェブサイトによるとその発祥はバーゼルとのことだが、現在ではスイス全土で食べられている。
スペイン|レチェ・フリータ
↓ 5枚目が「レチェ・フリータ」です
スペイン北部の伝統的なスイーツで、日本語に直訳すると「揚げミルク」になります。作り方は、まず牛乳、小麦粉、卵、砂糖、シナモンとレモンの皮(削り)を混ぜてクリーム状にします。冷蔵庫で冷やして固めたあと、小麦粉をまぶして揚げると完成です。現在はその美味しさからイースターに限らず、他の季節でもよく食べられます。(https://www.oliveoilsfromspain.jp/mei-ri-nooiru/supein-no-isuta-ni-mottomo-tenkei-tekina-okashi)
スロバキア・チェコ|ベラーネック
チェコのイースターでは、生命力の象徴として小さな動物、特にラム(子羊)を食べる伝統があります。
ちなみにラムといってもお肉に限るというわけではなく、甘い生地を子羊の形に整形して焼いたBeránek(ベラーネック)や、ラムをかたどったジンジャーブレッドを代わりに食べることもあるようです。(https://cz-portal.com/cz-easter/ )
スロベニア|ポティツァ
“ポティツァ”は、1991年にユーゴスラビア連邦から独立したスロベニア共和国で、クリスマスやイースター、親族の祝いの席などにつきものの伝統菓子です。胡桃とハチミツでつくられたフィリングを生地で巻き込んだ”povitica” あるいは”potica”という名の菓子が記された17世紀の文献もあるそうです。名前の由来となった菓子型はイエス・キリストの冠を象っており(右の写真はクグロフ型を使用※写真は元ウェブサイト)、正式なポティツァ型は底が平らです。( https://serbian-night.com/menu/530377 )
【た行の国】イースター伝統菓子1選
(まだ)ドイツ|チョコレート卵とうさぎケーキ
【は行の国】イースター伝統菓子3選
ブルガリア|コズナック
ブルガリアではキリスト教の儀式には必ずパンが用いられます。イースターの儀式で使うパンは「コズナック」というもので、他の儀式用のパンと違って甘いのが特徴です。砂糖、ナッツ、レーズンなどを入れた生地を長時間こねて空気を含ませ、糸が引くくらい粘り気が出て柔らかくなったら焼き頃です。細長く伸ばした生地を三つ編みにして輪を作り、上にたっぷりの砂糖をまぶして焼き上げます。昔は各家庭で作られていましたが、今はお店で買うことが多くなりました。フランスやイタリアにも似たようなパンがありますが、ブルガリアには19世紀中〜後半頃に、ハンガリーからの移民によって伝えられたと言われています。( https://ippin.gnavi.co.jp/article-2199/ )
フランス/アルザス地方|アニョー・パスカル
ポルトガル|フォラール・ダ・パシュコア
スーパーもイースター用のお菓子で溢れています。アーモンドのお菓子や定番のパン・デ・ロー、ゆで卵をそのまま乗せた一風変わったパンのフォラール・ダ・パシュコア(Folar da páscoa)などなど、見ているだけでわくわくします。(フォラール・ダ・パシュコアの写真を載せて→)ゆで卵をそのまま乗せる発想に、初めて見た時は驚きました(https://www.m-portugal.jp/portugal_life/015.html)
【ま行の国】イースター伝統菓子2選
マルタ|フィゴリ
フィゴリは、マルタのイースターに伝統的に食べられる甘いお菓子です。これは、アーモンドペーストで作られた2つのビスケット生地の間に、ジャムやクリームなどのフィリングを詰めて作られます。形状は典型的には、イースターの時期に伝統的に使用される動物や卵の形をしており、また、子供たちがデコレーションに楽しんでいることもあります。フィゴリは、イースターの期間中に食べられるだけでなく、贈り物としても使用されます。さらに、多くの場合、フィゴリは聖木曜日に作られ、聖金曜日に食べられるように保管されます。フィゴリはマルタの家庭で伝統的に作られますが、スーパーでも販売されます。( https://maltatou.com/malta-easter/ )
モルドバ・ルーマニア|コゾナク
イースターは、イエス・キリストの復活を祝うための最も重要な毎年恒例のキリスト教の祝日の1つです。 イースターでは、すべての家族が集まります。
イースター休暇中、主婦は赤い卵、パン、コゾナックなどの伝統的な料理を用意します。( https://metapro.co.jp/blog04/2021/05/post-5.html )
【ら行の国】イースター伝統菓子1選
リトアニア|シャコ―ティス
リトアニアのお祝いの席でお馴染みスイーツ「シャコーティス(Šakotis)」は形がユニークなバームクーヘンです。
リトアニア語で『枝』を意味する『Šaka』(シャカ)に由来しているネーミングで、小枝がたくさん生い茂っているようなイメージです。(http://from-lt.jlfa.jp.net/archives/605)
むすび&おまけ
保留組
北マケドニア
コソボ(セルビア正教)
サンマリノ
セルビア
タジキスタン
デンマーク・ノルウェー(四旬節に入る前のカロリー摂取文化がある/ファステラウンボーラファステラーヴンスボッレ)
トルクメニスタン(イスラム教徒がマジョリティ)
ボスニア・ヘルツェゴビナ(ボシュニャク人(ムスリム人)、セルビア人、クロアチア人で、宗教はイスラーム(スンニ派)、セルビア正教会、カトリックと、多民族・多宗教の国家)
モナコ(「コレ」という伝統菓子をみつけられなかった。)
モルドバ(いまいち不明…)
モンテネグロ(正教7割,次点でイスラム教,…お菓子についてはわからず)
ラトビア(いまいちわからず…)
リヒテンシュタイン(いまいちわからず…)
ルクセンブルク(四旬節の途中に「レターレの日曜日」として中間のお祝いが許された日があるっぽい。この日の定番には特別なプレッツェルを食べる伝統があるもよう。)
ペンテコステのお菓子というと「コロンビエ」しか見つけられない…
この延長線で、「ペンテコステの伝統のお菓子」というのはあるのだろうか…と思って調べたところ、コレといって見つけられたのが南フランスの「コロンビエ」というお菓子だけ…でした。
コロンビエは、どのようなお菓子でしょうか。一番の特徴は、アーモンドたっぷりのしっとりとした生地に、南フランス名産のメロンやオレンジのコンフィ(砂糖漬け)が焼きこんである風味豊かな焼き菓子であることです。まわりには、アーモンドが散りばめてあります。そして、仕上げの糖衣が乾燥を防いでくれて、日持ちのするお菓子です。更にもう一つ大切な特徴があります。
それは、「白い鳩」がモチーフであることです!お菓子の名前であるコロンビエは、フランス語で「鳩小屋」を意味します。白い鳩はコロンブと呼ばれ、平和や聖霊の象徴なのです。そのようなことから、お菓子の上にはマジパン(アーモンドから作られたペースト)で作られた白い鳩が飾ってあります。マジパンではなく、ハトのフェーヴ(陶器製の置物)を生地に焼きこむ場合もあります。
切り分けた時にフェーヴが当たった人は1年以内に結婚できるという言い伝えがあり、とても盛り上がるそうです。( https://jonan-murata.jp/blog/2021/05/05/post-1958/ )
もう少し腰を据えて探さないと見つけられなさそうです。取り急ぎ追記。
雑語り~日本人キリスト教徒はイースターの菓子を何と見做していくのが妥当か~
菅瀬晶子氏の論文の、こんなくだりを興味深く思った。
ギリシャ正教徒やイスラーム教徒への対抗意識から、欧米により近い宗派の信徒であることを誇りとし、ときにアラブ人であると名乗ることをためらう傾向すらみられる[菅瀬2005: 132]。彼らの内面では常に、アラブ人としてのアイデンティティと、キリスト教徒としてのアイデンティティの相剋が繰り返されているのである7)。しかしながら、宗教・宗派の別を問わず、東地中海地方すべてのアラブ人に共通する食物である麦粥にキリスト教的意味あいを持たせ、それを誇ることは、すなわち彼らのなかで乖離したキリスト教徒としてのアイデンティティと、アラブ人としてのアイデンティティを結びあわせ、親和性を持たせようとする行為といえはしないだろうか。キリスト教徒たちが誇らしげに麦粥をふるまうとき、そこにはイスラーム教徒に勝る存在でありたいという、キリスト教徒としての自尊心と、彼らと同じアラブ人としてのアイデンティティを抱いていたいという渇望がこめられているのである。
日本人は「外国の春の祭り」としてイースターを認識していると思うので、それらのどこかの文化を輸入して、日本のレシピで作る、くらいが穏当なのかな…
と思っていた。
けれど一方で、たとえば八百屋さんで並ぶおいしそうで安くなり始めたイチゴを尻目に、ヨーロッパのバターたっぷりずっしり目のお菓子であるとかちょっと変わっためんどくさそうなお菓子とか、あるいは特殊な型に頼ったそれ自体は決して日本人の口には合わないだろうレシピでお菓子を作る気が向くかと言うと…お菓子作りが好きな私でも、あまり自然な流れとは思えない。
そして、菅瀬氏の論文を読んで、私はひとつの道がひらけたように思った。
日本キリスト教徒のイースターのお菓子は、旬のイチゴやキウイフルーツなどで作るショートケーキやレアチーズケーキやミルクレープや、あるいはフルーツサンドイッチなどにキリスト教的な意味合いを持たせて『ウチではこれがイースターの定番お菓子でっす』とやる、その方面でいいんじゃないか…と。
おそらく、こちらのほうが日本人からの反発は大きいだろうな、と思う。
反発が大きい方が、運動の意味は重いというのが当方の現在の考えである。
アラブ人マイノリティキリスト教徒の麦粥をはじめとするこの例は、その反発があったときに私たちを支えてくれるものになるんじゃないかと、そんなことを思った。
イースターのお菓子を作っていけらたいいなぁ…
それはそれとして、色んな国のイースターのお菓子を作ってみることに挑戦してみたいとは思う。作ったら動画にして掲載すると思う。(↓その際はこちらのチャンネルに掲載すると思う)