教会HP制作・オンライン献金導入・礼拝動画にお困りの場合は(8/4)

キリスト教のケーキ13選+3選~聖書モチーフのスイーツお菓子たち~

「キリスト教のケーキって何やねん………」と思う方がこの検索で入ってこられるかは不明だが、掲載基準については『基準・経緯・雑感』項にて後述するので、気になる方は目次を活用していただきたい。

伝統菓子系

アニョー・パスカル|フランス・イースターの羊ケーキ

「アニョー〔Agneau〕 」→『子羊』
「パスカル〔Pscal〕」→『復活祭の』

復活祭(イースター)の時期に、フランスのアルザス地方(フランス北西部・ドイツに国境を接した地方)でたくさん作られるお菓子です。フランスのほかの地方のイースター菓子は卵型のチョコレートやケーキが定番のようですが、アルザス地方では羊モチーフのこのアニョー・パスカルが定番なんだとか。

(参考:「辻調グループ」「trait d’avion」「共立食品株式会社」各アニョー・パスカル頁,「世界の祝祭日とお菓子」p.21,「チェコ共和国大使館クックパッド」)

ピックアップポイント:ヨーロッパのイースターのお菓子は、なんだかんだ酵母やイースト菌を使ったパン系菓子が多いようだ。そんななかで「ケーキ」として存在感を出していたコイツ。しかも羊型!プロテスタントでも飛びつきたくなってしまうデザイン。おもわず型を探して買って七転八倒しながら自作してしまった。(→そのあたりはこちらの記事にまとめた

イヴズ・プディング|イギリス・善悪の知識の木の実のケーキ

聖書に出てくる禁断の果実りんごを、ふんだんに使ったプディングということで、この名がついているようです。イギリスの書物には、このプディングの原型が出てきたのが、1800年代初期ということなので、かなり古いプディングといえるでしょう。

(引用:リネットさんのアフタヌーンケーキ 

ピックアップポイント:聖書の記述由来の名前がついているのがエモい。それも、日本でも有名な創世記は原書史から。日本でも作りやす材料でありつつ「こういうお菓子もアリなんだ!」と思えるレシピでもあり感動的なので、ピックアップ。

エンゼルフードケーキ|アメリカ・天使の食べ物イメージケーキ

通常のスポンジケーキは全卵で仕込んで訳が、これに限っては卵白のみを使用する。したがって焼き上がったお菓子の断面は白い。そして表面もバタークリームあるいは生クリームをぬって白く仕上げる。

(引用:吉井菊次郎「万国お菓子物語」2021年/1997年晶文社の文庫化版p.188)

ピックアップポイント:「天使」という概念は少なくともアブラハム宗教由来なのでピックアップ。「シフォンケーキより好き」という人と「どう考えてもまずい」という人とがいて…作ってみなくてはならないと思っている。

クレムフカ|元教皇が愛したポーランドのパイクリームケーキ

クレムフカ(Kremówka)とは、たっぷりのクリームをパイ生地にはさんだケーキで、りんごのケーキ・シャルロトカ(Szarlotka)やチーズケーキ・セルニク(Sernik)などと並び、一般家庭でよく食べられているポーランドの伝統的なケーキです。

そのクレムフカが、ある日突然 法王のクレムフカ(Kremówka Papieska) として一躍人気になりました。1999年6月、ヨハネ・パウロ2世のヴァドヴィツェ凱旋の時のことです。広場でのミサにて、ヨハネ・パウロ2世が、子供時代によく通った中央広場の一角のケーキ屋のクレムフカが美味しかった、とのエピソードを話したところ、翌日には町の全部のケーキ屋からクレムフカを筆頭にありとあらゆるケーキが売り切れてしまったのです!それ以来「クレムフカは法王のケーキ」というイメージがすっかり定着しました。

https://blog.goo.ne.jp/ebistrade7/e/2b1bee8782f72beff92d54e42a2dab37

ピックアップポイント:264代目教皇聖ヨハネ・パウロニ世 ( 在位:1978年10月16日(22日)~2005年4月2日)が愛したケーキということで取り上げてみた。聖書由来ではないけど、教皇レベルの人が好きと公言したとあってはプロテスタントも気にせざるを得ない。ちなみに直近で仕入れたヨハネ・パウロ2世情報をはさむと…彼はエクソシズムを3回行ったことがあるらしく、これは日本人エクソシスト田中昇神父も同じ数なんだとか(参考:田中昇「エクソシストは語る エクソシズムの真実」p.46)

コロンビエ|フランスなど・ペンテコステのケーキ

「聖霊降臨祭=ペンテコステ」に食べる、南フランス発祥のコロンビエというお菓子をご紹介いたします。
(中略)
ペンテコステは、イエスが昇天された後、弟子たちのもとへ聖霊が天から降りてきたことを記念する日です。その日から使徒が布教をはじめたことから、教会の誕生日と呼ばれる場合もあります。日にちは毎年変わりますが、イースターから50日後の日曜日とされていて、(中略)

コロンビエは、どのようなお菓子でしょうか。一番の特徴は、アーモンドたっぷりのしっとりとした生地に、南フランス名産のメロンやオレンジのコンフィ(砂糖漬け)が焼きこんである風味豊かな焼き菓子であることです。

まわりには、アーモンドが散りばめてあります。そして、仕上げの糖衣が乾燥を防いでくれて、日持ちのするお菓子です。更にもう一つ大切な特徴があります。
それは、「白い鳩」がモチーフであることです!お菓子の名前であるコロンビエは、フランス語で「鳩小屋」を意味します。白い鳩はコロンブと呼ばれ、平和や聖霊の象徴なのです。

(引用:【世界お菓子カレンダー】コロンビエColombièr(聖霊降臨祭=ペンテコステ)

ピックアップポイント:ペンテコステのお菓子というのが、コレ以外まだ見つけられてないので。

シムネルケーキ|アイルランドなど・イースターのケーキ

『シムネルケーキ』は、イギリスの母の日「マザリングサンデー(Mothering Sunday)」と深い関係があります。
キリスト教徒は、イースター(復活祭)までの40日間、イエス・キリストの苦しみと死を思い「悔い改め」をし、断食・食事の節制・祝宴の自粛などして心身を清めていく「レント」という期間があります。

そのレントの期間中でもあるイースターの3週間前の日曜日、上流階級のお屋敷に奉公に出ていた女の子達は、礼拝をするために実家に帰る休暇を与えられていました。

そして実家へ帰る際に、お母さんへの手土産として「シムネルケーキ」を焼いて持って帰ったそうです。
それが「マザリングサンデー(Mothering Sunday)」として習慣化され、「シムネル・ケーキ=マザリングサンデー=イースターのお菓子」というイメージにつながったと言われています。

また、シムネルケーキのシムネル(Simnel)は、ラテン語の「simila(質の良い小麦粉)」から来ているそうです。
ドライフルーツとスパイスたっぷりのいわゆるフルーツケーキの上部をマジパンで覆い、その上にさらに11個のマジパンボールを載せてかざります。
この11個のマジパンボールは、イースターのシンボルである「卵=イースター・エッグ」をかたどったものです。

イエス・キリストの12人の使徒のうち、イエス・キリストを裏切った弟子のユダ(イスカリオテのユダ)を除く11人を意味するそうです。

(引用:【英国菓子レシピ】シムネルケーキの作り方-ケントデリ監修

ピックアップポイント:マジパンボールが11人の使徒の数というのが聖書ポイント強くてピックアップ。

ズコットケーキ|イタリア・修道士の帽子をかたどったケーキ

ズコットは、イタリアのトスカーナ地方の伝統菓子のひとつ。

名前の由来
①聖職者が被る小さな半球状の帽子、ズッケット(zucchetto)に似ていることに由来するという説と、②形がかぼちゃ(zucca=ズッカ)に似ていることに由来するという説の2つがある。

(猫井登『お菓子の由来物語』幻冬舎、2016年、p.33)

ピックアップポイント:日本でもかなり定着したのでピックアップ。伝統的なレシピではリコッタチーズを使うらしい(猫井,2016,p.33)ので、それも作ってみたい。

ガトー・デュ・ディアーブル|フランス・悪魔のチョコケーキ

後述の「デビルズ(フード)ケーキ|アメリカ・悪魔のケーキ」のフランス版?

ピックアップポイント:日本でも、カロリーは高いがおいしいレシピに「悪魔の〇〇」という命名をすることが増えてきた印象があるなか、これがそれの元祖なのかな?という感じだったので取り上げてみた。「天使」と同じく「悪魔」もまたアブラハム宗教由来の用語のハズなので。

カーディナルシュニッテン|オーストリア・「枢機卿」の意味ケーキ

カーディナルシュニッテンは、ウィーンを代表する銘菓の1つである。カーディナルとは「枢機卿」、すなわちカトリックの高い地位の聖職者のことを意味する。シュニッテとは、切るという意味(シュニッテンはその複数形)で、四角いケーキを指す。枢機卿は、赤い帽子とマントを身につけていたことから、本来はコーヒークリームではなく、赤すぐりのジャムをはさんで枢機卿を表していた。(中略)メレンゲの白とビスキュイの黄色の組み合わせはバチカン市国の旗の色に由来するという。

(猫井登『お菓子の由来物語』幻冬舎、2016年、p.21)

ピックアップポイント:日本ではあまりなじみのないお菓子なので、興味深くてピックアップ。私自身プロテスタントだからカトリックのシステムとか文化由来のものには基本興味持てないけれど、この枢機卿の地位には日本人も2024年までで7名任命されている。そしてお菓子としてもおいしそう。

タルタ・デ・サンティアゴ|スペイン・聖ヤコブのケーキ

スペイン・ガリシア州の伝統のお菓子。アーモンドと卵と砂糖だけで作られるシンプルなスイーツです。聖地巡礼の最終目的地である、サンティアゴ・デ・コンポステーラの修道院で作られたのが始まりとされ、聖ヤコブの十字架をかたどるのが特徴です。

https://www.hankyu-travel.com/attending/sns/kumakichi/inc/photo.php?photo_id=BP18-023640D.jpg

ピックアップポイント:丸山久美さんの書籍で表紙をかざっていたお菓子だったので。生地の組成を見ると、日本のスイーツレシピにはちょっとないような構成。でもグルテンフリーだし、場合によってはけっこう受け入れられるんじゃないかなぁ…という考えから。

デビルズ(フード)ケーキ|アメリカ・悪魔のケーキ

アメリカやイギリスで作られているチョコレートケーキの一種である。〝悪魔は黒”のイメージからの命名だろうが、その味覚、悪魔の誘いのごとく美味この上なしということか、幅広く、そして息長く親しまれている。
 チョコレート味のスポンジケーキにチョコレートクリームをはさみ、全体もクリームでカヴァーする。上面には削りチョコレートをまぶしたり、あるいは溶かしたチョコレートでコーティングすることもある。ともかくもチョコレートずくめの黒いお菓子だ。(引用:吉井菊次郎「万国お菓子物語」2021年/1997年晶文社の文庫化版p.188)

ピックアップポイント:日本でも、カロリーは高いがおいしいレシピに「悪魔の〇〇」という命名をすることが増えてきた印象があるなか、これがそれの元祖なのかな?という感じだったので取り上げてみた。エンゼルフードケーキと対なす存在のようではあるが、エンゼルフードケーキのほうがまだ有名ではないかと思う。

ブッシュ・ド・ノエル|フランス(ケルト系?)など・クリスマスのケーキ

「ビュッシュ(ブッシュ)」は薪や木の切り株を意味し、「ノエル」はクリスマスという意味を持っています。
直訳すると「クリスマスの切り株(薪)」といったところでしょうか。(中略)

19世紀後半にパリで誕生したといわれているブッシュドノエル。(中略)

諸説その①クリスマスといえばイエス・キリストの生誕を祝う「降誕祭」。
人々はキリストの誕生を祝うために何日も夜通し暖炉に薪をくべ、燃やし続けたのだそうです。そのときに燃やし続けた薪に由来して、切り株の形が選ばれたという説が定番として語り継がれています。

諸説その②北欧ではクリスマスの時期になると、大きな丸太を何日もかけて焼き続ける儀式「ユール(冬至祭)」が行われます。
これは「諸説その1」に登場したキリストの生誕を祝う儀式と同じものです。燃やした丸太のことを「ユールログ」と呼び、ユールログの灰は厄除けになるといわれています。
ユールログの灰が、クリスマスから先1年の間の厄除けとなる縁起をかついで、ブッシュドノエルはユールログ(丸太)をかたどったのだという説があるようです。

諸説その③北欧神話には、樫の木の薪を暖炉で燃やすことで、クリスマスから先1年の間「無病息災」で過ごせるという言い伝えがあります。

諸説その④諸説の中には、恋人のためにクリスマスプレゼントを買いたいのに、貧しくて買えなかった青年のエピソードもあります。

https://column.enakawakamiya.co.jp/western/bush-de-noel.html

ピックアップポイント:日本でもなじみ深くなったクリスマスケーキ。ヨーロッパの各国のクリスマス定番菓子を眺めてみると、焼き菓子だったり、ドライフルーツ系の菓子パンのようなお菓子だったりが多いなかで、伝統菓子枠でありつつ日本人が「ケーキ」認識しやすい特性を備えている筆頭格だと思ったので。

ベラーネック|チェコ・イースターの羊ケーキ

ピックアップポイント:フランス・アルザスの「アニョーパスカル」に似てるお菓子。同じくイースターケーキではあれど、呼称が違うのでピックアップ。もし私が羊ケーキの陶器型を買うとしたら、このベラーネック型を買いたいと思っている。アニョーパスカルとして流通している型より立体的でカワイイと思ったので…。


…ここまで伝統菓子編…

現代日本版~プロテスタンティズム思想編

アラブ人キリスト教徒たちは、イスラムがマジョリティの社会にあって、自分たちのアイデンティティ確立の一助として「一般的なアラブ食にキリスト教的な意味を見出して、誇る」ということを行っているのだとか(菅瀬晶子,2008年)

それにならって、日本人プロテスタントキリスト教徒たるわたしも、ちょっとそういうのできへんかな…と思って目下発信中。

詳細は別ページに。

(思想強め)現代日本人キリスト教徒のお菓子・ごはん~クリスチャンの文脈化に対する1つの思想と決心【食事編】

ここでは「ケーキ」をピックアップ。

天狗シフォンケーキ

芝居や講談でキリシタンが天狗になぞられられることがあったようです。なので日本の天狗の解釈史においては『天狗=キリスト教徒』と言える時代があったということで…「日本食のキリスト教的再解釈」を試みている私はこの知識に飛びついたという感じです。詳細はコチラのページへ

カインの腕

スペインには「ジプシーの腕」というロールケーキがある。
→「ジプシーの祖先はカインという説も、辞書に載るくらいには西洋の人口に膾炙
→日本食にキリスト教的な意味を見出して再解釈したい私
→あんこロールケーキのこと「カインの腕」って呼んだろ!
→あずきは赤でカインのイメージカラーも赤や!
日本語でカインちゅうたら有島武男「カインの末裔」や!
有島は北海道出身!「カインの末裔」の舞台も北海道や!!
日本のあずきは北海道生産がほとんどや!

→既製品とは差別化せんとさすがに各方面から顰蹙買いそうや!せや!!米粉で作ったろ!!詳細はコチラ

聖母マリアシフォン

桜シフォンケーキを作ったら西洋絵画に用いられる聖母マリアの衣の色っぽくなったので、クリームを青くして「聖母マリアシフォン」と呼ぼうと思った。聖母マリアのイメージは時代や地域によって違い、「戦争に守護を与える強い女」的な聖母マリアの印象が強かった時代や地域もあるそうだが、現代の日本における聖母マリア像とはおおむね『慈愛の象徴』であると認識する。ゆえに、ふわふわのほどけるようなシフォンケーキと重ねるのは了解可能ではないかと思ったのだが…いかがだろう(当コラムライター談)

基準・経緯・雑感+資料

掲載の基準(伝統菓子系)

・日本語で「ケーキ」だと説明されている媒体が複数ある

・聖書に言及されている名詞とか人名とかが名前についてるケーキ

取り上げない例)…「聖ジョージ(ゲオルギウス)」とか「聖イヴ」とか「聖アガタ」とかの名前がついている・そのお祭りの日に食べられる…というお菓子は、ケーキであっても範囲外。

・聖書の記述由来ではなくても、現代日本人でもインターネットでソースを調べることが負担がなさそうだったら取り上げる。

例)教皇ヨハネ・パウロ二世が愛したクレムフカ,ブッシュドノエル

掲載の基準(日本食文脈化系)

・日本食の範疇である(not「和食」)

詳細はコチラのコラムにまとめている

コラム制作の経緯

「キリスト教 お菓子」みたいな検索需要があることを知る→『んなモンこの星の無数の塵の数ほどあるわい、まとめられっかい』と思う→既存の情報を調べてみる→まとめが少なすぎる…→”ケーキ”くらいの縛りなら…ギリまとめられるかも…→至る

雑感

めんどくさかった~~情報のまとめは楽しくはない~~~~~ただの意地~~~~~~~。

お菓子教室さんとか製菓材料店さんとか、この記事に広告張りたかったら「お問い合わせ」とかからお声かけくださーーーーい。

資料とか

ぶっちゃけコレ(↓)とかに載ってるの全部「キリスト教のお菓子」だし、掲載してるケーキがあったらそれはすべて「キリスト教のケーキ」なんスよね…。

ここで紹介しきれてないものもたくさんあるので、気になる方は書籍をお手にとることをおススメします。


ここからは「キリスト教に縁のあるお菓子を高確率で知れる」本


そのほか参考文献