目次
イエスたちが「最後の晩餐」で食べたであろう料理（に近いもの）
食べて味わう聖書の話
↑表紙のこの写真が今回紹介する「イエスたちの最後の晩餐イメージ再現プレート」です
四人の使徒が福音書を書いたが、そのうちの三人によれば、キリストの最後の晩餐は過ぎ越しの祭りの晩に行われた。イエスは祭壇から下ろされたばかりの（過ぎ越し祭の）生贄の仔羊を食べていた。それにはグラス四杯のワイン、発酵させないで焼いたパン、卵、苦いハーブ、ラディッシュ、塩、チャロシェト（干した果物とスパイスで作るヘブライ＝エジプト系ソース）が添えられていた。
（「古代ローマの食卓」パトリック・ファース著,目羅公和 訳,東洋書林,2007年, p.40）
詳細な材料と、ひとつひとつの意味
① カルパス
祝福の後で最初に塩水に浸した「野菜」を食べる。春野菜（パセリ・セロリ・ポテト・ラディッシュなど）。エジプトで流された人々の涙のシンボルを想いおこしながら、浸した塩水が垂れるようにいただく。
② マロール（苦菜）
チコリ、ぜにあおい、赤大根など（代表は「チコリ」。チコリは冬は甘いが、春には苦くなる）。これもエジプトでの苦しみのシンボル（移住当時は『甘く』、のちの奴隷生活で『苦しくなった』というへブル人のエジプト滞在の象徴）。
③ ハロセット
苦菜を浸して食べる茶色のディップ。レーズン・りんご・デーツ・いちじく・オリーブ・あんず・ざくろ・砕いたアーモンド・シナモン・小麦・蜜とワインなどを混ぜたディップ。
人々がエジプトで作っていたレンガの象徴。
（→現代のレシピ？詳細はB.F.P.Japan （ブリッジス・フォー・ピース）にも情報あり）
④ ズロア
焼いた子羊の肉。「犠牲の子羊」のシンボル。ただしこれは過ぎ越しの神への感謝として捧げられたもので、ひとかけらだけ食べるものだったと考えられる。
⑤ ベイツァー
固ゆで卵。葬儀のあとで最初に食べられる、弔いのシンボル。
⑥ マツォット
種なしパン。セダー・プレートの横に白い布で覆って3枚に重ねて置かれる。
・ワイン
4杯
（参考：「食べて味わう聖書の話」山口 里子 著, 2018年,オリエンス研究所 p.66, pp.96-97）
⑥ マツォット…種なしパンの作り方
【材料】
全粒粉（あればデュラムセモリナ粉）2カップ（250g）、冷水2/3カップ（135ml）、オリーブ油大さじ2、塩小さじ1
【作り方】
① 材料をすべて合わせてボウルに入れてひとまとめにし、台の上で約3分こねてパン生地とする。
② 8等分して丸くまとめる。（オーブンを250℃に予熱しておく）
③ 厚さ3～4㎜の丸い形にのして、フォークなどで穴をあける。
④ ③をオーブンシートに並べ、250℃のオーブンで約10分焼く。
（参考：「食べて味わう聖書の話」山口 里子 著, 2018年,オリエンス研究所 p.73）
※「出エジプト」の物語の語りに合わせて、4つのカップとワインと共に、これらが一つひとつ順に食べられます。最後に神への賛美を歌って、セダーの食事は終わります。（引用 p.97）
＼こちらにも情報アリ／
（B.F.P.Japan （ブリッジス・フォー・ピース）というウェブサイトに飛びます）
食べて味わう聖書の話
↑ 表紙のこの写真が「セダー・プレート」です。
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調べた理由、所感、これからやってみたいこと
この記事を作った経緯：「最後の晩餐」で調べてたどり着かなかった情報
「最後の晩餐 メニュー」といったキーワードでインターネットブラウザ検索してみると、『レオナルド・ダ・ヴィンチの絵に描かれてる最後の晩餐のメニュー』といった記事が多く、なかなか「イエス・キリストたちが食べたであろう最後の晩餐」がわかりませんでした。
時を経て、
山口里子先生「食べて味わう聖書の話」を読む機会があり、そこに再現しやすそうかつ学問的にも妥当っぽい情報がまとめられていましたので、思い切ってその部分のみ参考にしてコンテンツを制作いたしました。
山口先生の書籍は「ガリラヤ湖で獲れる魚はイワシがNo.1」「ペテロが獲った魚はたぶんティラピアじゃなくてニゴイのほう（現在「聖ペテロの魚」と呼ばれているティラピアではない魚が実際に引き上げられてたであろう）」（pp.41-42）、「蜜はデーツ蜜の可能性が高い」（p.23）などなど、ほかにも「聖書の食べ物に関する情報」が満載です。
食べて味わう聖書の話
レオナルド・ダヴィンチ「最後の晩餐」への学者の小言がおもしろかった
一般人である私などががダヴィンチの絵を見て思うのは、「メニューは何なんだろう？」であるとか「どれがユダでどれがどの弟子なんだろう？」であるとかなのですが、学者はやはり着眼点が違うと思ったのが、山口先生の書籍の以下のくだり。
何が問題かって？つまり、実際にイエスが食べた「最後の晩餐」を思い浮かべようとするなら、あの絵にはいくつもの問題があります。最大の問題は、男性たちだけの食事として描かれていることです。
福音書によれば、イエスの最後の食事はエルサレムに行って食べた、過越祭の食事でした（マタイ26:1など）。過ぎ越し祭の食事は神の前での礼拝でもあり、男性も女性も子どももみんな一緒に食べるように、昔から教えられていたのです。 イエスの伝道活動で女性たちは初めから伝道に参加して、イエスと共にガリラヤからエルサレムまで同行して、イエスの処刑も、埋葬も、復活までも見届けました（マタイ27:55-56、マルコ15:40-41など）。ですから女性たちは必ず一緒に食事をしていたはずです。イエスの「最後の晩餐」、それは伝道活動で苦楽を共にしてきた仲間たち、危険を覚悟でエルサレムにやってきたみんなが、一緒に分かちあう食事でした。（引用：「食べて味わう聖書の話」山口 里子 著, 2018年,オリエンス研究所 pp.65-66）
やはり日本人にとってこのレオナルド・ダ・ヴィンチの印象はあまりにも強く、そこに女性の姿が描かれていないこと、その印象が広まって私たちのイメージを形成していることは、考えさせられました。やはり学者さんの営みがないと気づけないことは多いのだな…と思わされました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」の食卓には、魚料理（オレンジまたはレモンのスライス添え）・オレンジ（またはレモン）・赤ワイン・パンが描かれています。また、魚料理はウナギではないかという説があります。
以下の資料に記述があります。
〇『食べる西洋美術史』 宮下規久朗／著 光文社 2007年
〇『LEONARDO最後の晩餐』 ピエトロ・C.マラーニ／著 ニュートンプレス 2000年
〇『ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作か?』 高階秀爾／著 小学館 2014年
〇『レオナルド・ダ・ヴィンチ復活『最後の晩餐』』 片桐頼継／著 小学館 1999年
〇「朝日新聞」2008年10月25日e5面 日野原重明「ダ・ヴィンチとウナギ」
チーズないの？
「チーズと文明」という書籍に
古代文学の中で最も深遠な作品の一つ、ヨブ記の物語の中で、主人公ヨブは人間の苦しみという普遍的な問題に直面する。ヨブはだれからも後ろ指をさされることのない、真っ正直な人生を歩んできた。それなのに、何の理由もなく、健康も何もかも一度に失うのだ。ヨブは自分の人生に失望してしまう。
聖書のこの一節（※）では、ミルクの凝固とチーズ作りのイメージを用いて、そもそも神がなぜ自分を造りたもうたのだろうかと、その混乱した気持ちと不満を実に巧みに表現している。
この書がいつ書かれたものか正確なところはわかっていない（推定では紀元前2000から500年）。ただわかっているのは、この後も、ミルクの凝固とチーズ作りが人類の起源と誕生の過程を説明するイメージとして使われるということである。
（「チーズと文明」ポール・キンステッド著,和田佐規子訳,築地書館,2013年ｐ.93）※ヨブ記十章8～11,18
として、ユダヤ文化に‟チーズになる過程”が非常に重要だったことが言及されていたので、『最後の晩餐にもチーズあったんじゃ？』と考えたことがありました。
しかも、テルトゥリアヌスは、イエスの処女解体のイメージを、ヨブ記に記されているチーズ凝固のイメージを用いて説明したらしく（p.159）
『これはもう最後の晩餐にチーズあった確定演出でしょ？？？』と思いましたが、どうやら一筋縄ではいかないようです。
どうも「チーズを聖餐に用いる」のは当時あったほかの宗教と混ぜないために忌避された歴史があるらしく（「聖餐式でパンの代わりにチーズを用いることは、最後の晩餐の時に弟子たちに示されたキリストの指導に対する直接的な挑戦であるとして非難された（Tabbernee2007）」そうです。
詳細は省きますが、とにかくイエスたちの最後の晩餐のメニューにチーズはのぼならなかっただろうし、キリスト教の歴史を見ると忌避していた時代まである…ということのようです。
※「キリスト教徒にとってのキリストたるイエスはチーズを食べなかった」という話ではないです。念のため…
おまけ：大塚国際美術館レストランで提供されていたプレート
2014年だったか15年だったかに大塚国際美術館に来館したさい、レストランで「最後の晩餐再現プレート」をいただきました。
これは、ダヴィンチの「最後の晩餐」の再現を目指して構成したプレート、ということでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をもとに、鯛や阿波黒毛和牛、わかめ、レンコン、金時芋など徳島の食材を使ったオリジナルの晩餐メニューなのだそうです。
写真撮ってSNSにUPしたことがあるので探してきます。
（わさびラボさんが綺麗なお写真掲載されていました！）
AIに尋ねてみると…
まとめ：想定される実際の「最後の晩餐」メニュー例
- 種なしパン（マッツァ）
- ローストまたは煮込みラム（ハーブ風味）
- レンズ豆や豆のシチュー
- 苦菜（野草のサラダ）
- チャロセット（ナツメ・ナッツ・ワイン・果実ペースト）
- オリーブとオリーブオイル
- 干しイチジクやナツメ、はちみつ
- ワイン（水割り）
これが1世紀のエルサレムでイエスと弟子たちが実際に食べていたと考えられる現実的な「最後の晩餐」のカタチです123
（パープレキシティ回答：プロンプト→「イエスと弟子たちが「最後の晩餐」で食べていたメニュー。ダヴィンチの絵じゃなくて、実際に考えられるやつ」）
「レンズ豆のシチュー」「オリーブとオリーブオイル」は、現在確認している書籍には見受けられませんが、可能性としてはあったかもしれない…というのが現時点でのパープレキシティさんの回答でした。
ワインはどこ産のにする？個人的にはジョージアワインとかエエんちゃう？
日本において、ユダヤ教徒じゃない人間がこの「最後の晩餐」を用意したとして、じゃあワインをどこ産のにするか、という話になってくる可能性について考えました。個人的な推しを3つ、理由とともに紹介します。
①南アフリカワイン
南アフリカの神学生さんから「現在の南アフリカワインは安くて質が良いものが多い」と教えてもらいました。気候が地中海気候で、そこにワイン生産の知識がもちこまれて現在いい感じの産業だそうで。成城石井などで買えます。なので南アフリカ産をおすすめしてみます。
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③ジョージアワイン
(function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q||[]).push(arguments)}; c.getElementById(a)||(d=c.createElement(f),d.src=g, d.id=a,e=c.getElementsByTagName(“body”)[0],e.appendChild(d))}) (window,document,”script”,”//dn.msmstatic.com/site/cardlink/bundle.js?20220329″,”msmaflink”); msmaflink({“n”:”キンズマラウリ サペラヴィ 陶器ボトル(750ml)”,”b”:””,”t”:””,”d”:”https:\/\/thumbnail.image.rakuten.co.jp”,”c_p”:”\/@0_mall\/rakuten24\/cabinet\/315″,”p”:[“\/4867601702315.jpg”,”\/4867601702315-2.jpg”],”u”:{“u”:”https:\/\/item.rakuten.co.jp\/rakuten24\/4867601702315\/”,”t”:”rakuten”,”r_v”:””},”v”:”2.1″,”b_l”:[{“id”:17,”u_tx”:”楽天市場で見る”,”u_bc”:”#f76956″,”u_url”:”https:\/\/item.rakuten.co.jp\/rakuten24\/4867601702315\/”,”a_id”:1499435,”p_id”:54,”pl_id”:27059,”pc_id”:54,”s_n”:”rakuten”,”u_so”:1},{“id”:22,”u_tx”:”Amazonで見る”,”u_bc”:”#f79256″,”u_url”:”https:\/\/www.amazon.co.jp\/s\/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A\u0026url=search-alias%3Daps\u0026field-keywords=%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%AA%20%E3%82%B5%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%20%E9%99%B6%E5%99%A8%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB(750ml)”,”a_id”:1499440,”p_id”:170,”pl_id”:27060,”pc_id”:185,”s_n”:”amazon”,”u_so”:2},{“id”:23,”u_tx”:”Yahoo!ショッピングで見る”,”u_bc”:”#66a7ff”,”u_url”:”https:\/\/shopping.yahoo.co.jp\/search?first=1\u0026p=%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%AA%20%E3%82%B5%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%20%E9%99%B6%E5%99%A8%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB(750ml)”,”a_id”:1586915,”p_id”:1225,”pl_id”:27061,”pc_id”:1925,”s_n”:”yahoo”,”u_so”:3}],”eid”:”bNvCu”,”s”:”s”});ジョージアワインは人類史におけるワイン発祥の地とも呼ばれています。ノアのワインがジョージアワインの源流となったかも？という伝説的観念を考えたときにおススメしたくなってしまいます。
